'了'に関する間違い

'了'の誤用

  1. 連動文、兼語文の最初の動詞の後に用いる“了”。ここではまず、連動文、兼語文とは何であるかを説明する。
    • 連動文:連動文は連動語を述語として用いる文である。あるいは、述語が直接文を構成する文である。2つの動詞は互いの要素となるのではなく、共同で述語となる。しかし、語意上は目的と方式、原因と結果、あるいは前後の関係を持つ。従って、語順を互いに入れ替えることはできない。つまり、1つの文に独立していない2つの動詞を持つ。

      例文

      • 由于长期的劳累过度,李老师终于生病住院了。(因果关系)
      • 我去图书馆看书了。
    • 兼語文:述語部分に動詞があり(形容詞の場合もある)、最初の動詞とは主語が同じでない。最初の述語の目的語が同時に述語文の主語となる。

      例文

      • 老师让学生们写作业。

      この文には2つの動詞、"让"と"写"があり、“让”の主語は"老师"で、“写”の主語は学生である。また、“让”の目的語は"学生们"で、"学生们"はまた第2の動詞“写”の主語である。このような文を兼語文と呼ぶ。

    上記の連動文と兼語文で、“了”を置くときは2つの動詞のうち、2番目の動詞の後ろに置く。

      1. 姐姐去了超市买了一个西瓜。
      2. 老板派了我出差了,所以这件事情我不知道。
      1. 姐姐去超市买了一个西瓜。
      2. 老板派我出差了,所以这件事情我不知道。

    分析:例文1はすでに述べた連動文であり、動作行為はすでに発生している。最初の動詞、“去”の直後の“了”は不要なので、この文は間違いである。この“了”は削除しなければならない。例文2は兼語文で、“了”は2番目の動詞、“出差”の後ろに置かなければならない。

    日本の学生は、“了”が実際に起こったことを表すのでその場合に動詞の後に“了”を置かなければいけないと考えるため、間違いを犯す。これは正しくない。中国語には多くの文型があり、文型が異なると“了”の用法も異なる。

  2. 直接話法を導く動詞の後の“了”の誤用。

      1. 他说了:“我一定会学好汉语的。”
      2. 姐姐问了:“你哭什么?”
      1. 他说:“我一定会学好汉语的。”
      2. 姐姐问:“你哭什么?”

      分析:直接話法を導く動詞の後には“了”を置かない。

  3. “了”を伴わない動詞に対する“了”の誤用。

    中国語の複音節動詞の中には、その後ろに動詞あるいは形容詞を伴って目的語を作るときには後ろに"了"を付けることはできない。中国語でよく使われる複音節動詞には、“听说,听见,决定,拒绝,答应,开始”などがある。このような動詞が用いられるときにはその後ろに“了”を加えてはいけない。

      • 我听说了他要回国。
      • 大家决定了周末去看电影。
      • 我听说他要回国。(私は彼が帰国するつもりだと聞きました。)
      • 大家决定周末去看电影。(みんなは今週の週末に映画を見ることに決めました。)

    よく使われる複音節動詞を使うときには“了”を加えてはいけない、と覚えておけば間違うことはない。

  4. “没(有)+动词”,后面误用“了”

    実現したことを表す“了”と否定の副詞“没(有)”は同じ文で同時に用いることはできない。

      • 我没(有)吃了饭。
      • 你说的事情我没(有)忘了。
      • 我没(有)吃饭。
      • 你说的事情我没(有)忘。
  5. “没(有)+動詞+結果補語”の形では後ろに“了”を置くことはできない。

      • 今天没有做完了作业。
      • 房间没打扫干净了。
      • 今天没有做完作业。
      • 房间没打扫干净。

    分析:“動詞+結果補語+'了'”は動作の完了を表すので、否定するときは動詞の前に"没(有)"を追加するとともに“了”を削除する。

  6. “(主語)+'非常'+形容詞”の形では後ろに“了”を置くことはできない。

    中国語の“(主語)+'非常'+形容詞”はすでに起こったことや状況に対して客観的に評価を述べるときは通常“了”を付けない。

      • 我们班级在这次比赛中获得第一名,同学们都非常高兴了。
      • 听到这个消息,他非常难过了。
      • 我们班级在这次比赛中获得第一名,同学们都非常高兴。
      • 听到这个消息,他非常难过。

'了'の抜け

  1. 連続する動作を表す複数の動詞のうち、1つ目の動詞の後ろに置くべき"了"の抜け。

    1つの動作あるいは状況の完了後に起こる他の動作や状況、特に第1の動作や状況が第2の動作や状況が起こる時間や条件を決めるとき、第1の動詞の後ろには通常“了”を置く。

    例文

      • 听姐姐的话,我就放心了。
      • 我们吃饭再去吧。
      • 听了姐姐的话,我就放心了。(姉さんの話を聞くと、私は安心しました。)
      • 我们吃了饭再去吧。(ご飯を食べった後、私たちは行きましょう。)

    中国語に直訳するとき、第1の動詞の後に“了”を付けるのを忘れる学生が多い。

  2. “動詞+'了'+数量名詞”の後ろに“了”を加える場合と、“了”を加えない場合では意味が異なる。

    “動詞+'了'+数量名詞”:動作行為の持続時間あるいは完了した量を表すと共に、動作行為がすでに完了して、これ以上継続しないことを表す。

    “動詞+'了'+数量名詞+'了'”:動作行為の持続時間あるいは完了した量を表すと共に、動作行為が持続しうることを表す。

    例文

    1. 同事:“你学汉语学了多长时间了?”
      我:“学了一年”
      (これ以上学ばない。)
    2. 同事:“你学汉语学了多长时间了?”
      我:“学了一年了”
      (続けて学んでいる。)
    3. 朋友:“你在这儿住了多长时间了”
      我:“住了三年。”
      (私は今日引っ越して、これ以上ここには住まない。)
    4. 朋友:“你在这儿住了多长时间了”
      我:“住了三年了。”
      (私はまだここに住み続ける。)

    状況が異なる場合には状況に応じた答えをする必要がある。動作行為が続く場合には、忘れずに後ろに“了”を付け加えなければならない。

'了'を持つ文の否定文の間違い

中国語の否定副詞“没有”は、動作が発生したことを表す“了”と一緒に使うことはできない。従って、"了"を伴う文を否定文にする場合には、動詞の前に"没有"を付け加えると共に“了”を削除する。

例文

    • 他没(有)告诉我这件事了。
    • 这部电影我没(有)看了一次。
    • 他没(有)告诉我这件事。
    • 这部电影我没(有)看。
  中国語レッスンコーナー